予防ばかりではないプラークコントロール



 50代の女性です。歯科医院に行くのが大変怖く、今までできるだけ積極的な治療をさけてこられました。しかし、前歯の歯並びが崩れてきてぐらぐらし、いよいよ不安になり、一大決心をして来院なさいました。
 図1のように下の前歯は大変な病状でした。X線(図2)でみても歯を支える大事な骨がなくなっているのが判ります。
 ご本人は、歯ブラシをすると出血するので、歯ブラシをあまりあてないようにしていたらしいのです。これはもちろん逆効果で、プラークや歯石の量を増やしてしまう結果になりました。

図1   図2
 
歯周病菌により歯肉は炎症を起こし、破壊され後退しています。歯は揺れたり動いたり不安定な状態で、歯垢や歯石の付着も多い状態でした。   下の前歯を支える骨は以前は赤いラインのところまであったはずですが、歯周病により半分以下になっています。

 説明により、勘違いが判りますと、何とか歯を抜かないで残したいということで、熱心にブラシの指導を受け、プラークコントロールをがんばりました。その後、歯肉の中まで麻酔をして歯石を除去したり、移動した歯を矯正したり、金属を接着して固定したり、時間のかかる根気のいる治療でしたが、ご本人の努力の甲斐もあって、10年以上経った今でも下の前歯は1本も抜かずにすんでいます。(図3)
 X線で見ても骨がなくなるどころか、前より安定した良好な状態が確認できます。(図4)
 この場合、治療がうまくいったのも、現在まで良い状態が維持されているのも患者さん自身のプラークコントロールがうまくいっているからで、私達は治るためのお手伝いをしているにすぎません。正しく行われるプラークコントロールには予防効果ばかりでなく治療効果があるのです。

図3   図4
 
初診より10年後の状態。プラークコントロールと治療により、歯肉はひきしまり、炎症はひきました。その後定期管理をずっと実施しています。患者さんの努力で歯肉は今もいい状態に保たれています。   骨の量は少なくなりましたが、金属の固定装置により補強されて動きもなく。骨の頂部には骨が安定していることを示す白い線(矢印の部分)が見えています。プラークコントロールが効果をあげていることを示しています。


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